随筆/読了

記憶の小瓶
高楼 方子

クレヨンハウス 2004-09
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「人の幼少期の話は,自分の幼少期の記憶を呼び覚まします。この私的な回顧話に意味があるとすれば,その一点に尽きるでしょう」


そんな書き出しで始まるのだけれど,面白かった。
意味なんてどうでもいい。面白かった。
思い出が,というよりも,すべてはその明晰な文章にあったんだと思う。
媚びず,酔いしれず,つっけんどんにもならず。
結びまでしっかり,姿勢の正しい文章だった。
甘いのに後味がさっぱりしていて,次から次に欲しくなる魅力的なお菓子のようだった。